メカニズム

最近、硝酸塩および亜硝酸塩について有効性だけでなくそのメカニズムについても話題になっている。NO合成を理解することは、栄養士や保健専門家が、特にスポーツ分野で硝酸塩と亜硝酸塩の重要性を認識する上で一層役立つ。

生理学的シグナル伝達分子である「NO」は、L-アルギニンの酸化によりのみ合成され、NO合成酵素(NOS)のファミリーによって触媒されると考えられていた。しかし、生体内で硝酸および亜硝酸をNOや他の窒素酸化物に還元することができる「硝酸- 亜硝酸-NO」経路が最近発見された。

この経路は、酸素欠乏状態において酸素依存性であるNOS活性が低下した際にNO合成を促進するため、従来の「L-アルギニン-NOS-NO」経路を補足するものである。

内因性のNOSシステムとは異なり、緑色野菜などを摂取することで生体内の硝酸および亜硝酸の貯蔵に一役かっている。

食品由来の硝酸塩は胃や小腸から急速に吸収され、摂取された硝酸塩の約25%が腸唾液循環に入り、共生嫌気性細菌由来の硝酸塩レダクターゼによって亜硝酸塩に還元される。

さらに、この亜硝酸塩は胃の酸性環境においてNOに還元されるか、または胃腸管を介して吸収され循環系に再び入る。


Biological Pathways of NO synthesis
(Reproduced from: Jones AM., Sports Med. 2014)

デオキシヘモグロビンを含む多くの酵素およびタンパク質が、血液および他組織中において亜硝酸塩からNOへの還元に関与することもまた見出されている。 この過程は、主として低酸素利用率(例えば虚血および低酸素)や低pH状態下において、NO合成が必要とされるところで起こる。