血管の健康について

2025年までに、心血管疾患(CVD)の世界的な有病率は30%まで増加すると予想されている。 治療を受けた高血圧患者の50%近くが血圧上昇を訴えているため、高血圧はCVDの主要な危険因子の1つと考えられている。そこで現在、効果的であり費用対効果の高い代替治療戦略が求められている。

いくつかの研究により、食物由来の無機硝酸塩を摂取すると血中や組織において硝酸塩濃度が増加し血管拡張作用を示すと報告されている。ビートルート抽出物は、硝酸塩の豊富な供給源であり、高血圧の管理において臨床的に評価されている。

収縮期血圧および拡張期血圧に対するビートルートジュース由来硝酸塩の用量依存性有効性を調べるために、無作為化されたオープンラベルのクロスオーバー試験を9人の健康な被験者で行った。 試験では、被験者にビートルートジュース250ml(〜5.5mmol硝酸塩相当)または水250mlのいずれかを与えた。

結果は、対照群と比較してビートルート摂取群において血漿硝酸塩濃度の増加が見られ、この増加は3時間にわたった。 その結果、収縮期血圧はピーク時5.4mmHg低下した。

よって、収縮期血圧と食物由来の硝酸塩摂取には逆の関係が存在すると結論付けられた。さらに、サプリメントとして無機硝酸塩を摂取した際にも、用量依存的な血圧の低下および血管保護が推測された(Kapil et al., 2010)。

健常者30人の無作為プラセボ対照臨床試験では、ビートルートジュース500g(= 15mmol / L硝酸塩)摂取後、6時間で4〜5mmHgの収縮期血圧の低下が観察された。血圧は24時間毎時測定した。

この24時間の試験期間は、さらに約10時間の活動的フェーズ(日常的な身体活動)と受動的フェーズ(休息および睡眠時間を含む)に分けられた。

研究結果は、活動的フェーズでも、ビートルートジュース摂取により収縮期血圧が有意に低下したことを示した(Coles and Clifton., 2012)。


Adapted from: Coles and Clifton., Nutrition J. 2012